窓のリフォームどこまでする?
窓のリフォームは大きく以下の3つに分けられます。それぞれの場合で工事の規模が異なるので、かかる費用も異なります。詳しく見ていきましょう。
- ガラスを交換する
- 窓を交換する
- 窓の大きさや位置を変える
1:ガラスを交換する
窓の位置や窓枠には問題がなく「ヒビが入った、割れてしまった」「ガラスの種類だけ変えたい」という場合はガラスの交換だけで済ませることができます。
ガラスの交換は目安として1時間以内で作業が終わります。ガラスの交換費用はガラス代と設置費用合わせて約1万円~4万円(90cm×90cm)です。費用はガラスの種類や大きさによって変わります。以下はガラスの種類と費用目安です。
ガラスの種類 | 費用(90cm×90cm) | 概要 |
---|---|---|
フロートガラス | 約13,000円~18,000円 (厚さ5mm) |
一般的な透明のガラスです。比較的安価で、日光も通しやすいです。 |
網入りガラス | 約20,000円~30,000円 (厚さ6.8mm) |
金網の入ったガラスで、防火性や飛散防止の効果があります。 |
型板ガラス | 約10,000円~15,000円 (厚さ4mm) |
片面に凹凸のついたガラスで、光を通しつつ視線を遮ることができます。 |
すり板ガラス | 約10,000円~15,000円 (厚さ3mm) |
片面をけい砂で擦って艶を消した状態のガラスです。視線を遮ることができます。 |
複層ガラス | 約30,000円~40,000円 | 2枚のガラスの間に空気の層を作り、断熱性を高めたガラスです。他にも「Low-E複層ガラス」という遮熱効果のある種類もあります。 |
強化ガラス | 約10,000円~15,000円 (厚さ4mm) |
見た目はフロートガラスと同じですが、強度が3~4倍になっているガラスです。割れると粉々になります。 |
防犯ガラス | 約30,000円~35,000円 (厚さ6mm+中間膜) |
複数枚重ねたガラスの間にフィルム状の樹脂をはさむことで穴が空きにくくなっているガラスです。 |
型板ガラスとすりガラスの違いがあまり分からない方もいると思いますが、すりガラスは濡れると透けます。そのため、浴室のガラス交換を考えている場合は型板ガラスのほうがよいでしょう。適切なガラスの種類は業者に相談すると安心です。
2:窓を交換する
窓を交換する方法としておもに「カバー工法」と「はつり工法」があります。カバー工法は今設置している窓枠の上から新しい窓枠を被せる工事方法です。はつり工法は今の窓枠を撤去して新しく窓枠を取り付ける工事方法です。費用を抑えるならカバー工法をおすすめします。
カバー工法 | はつり工法 | |
---|---|---|
費用(180cm×170cm) | 約10万円~20万円 | 約30万円~50万円 |
施工時間 | 半日~1日 | 2日~5日 |
メリット | 室内から施工できるので足場を組む必要がない | 既存の窓と同じ大きさの窓が設置できる |
デメリット | 上から被せるため窓の大きさが小さくなる | 壁や床の補修作業がある分、費用と工期がかかる |
カバー工法は今ある窓枠に手を加える必要がなく、設置時間は1箇所あたり半日~1日とはつり工法と比べて短いです。はつり工法は窓枠を取り除くにあたって周囲の壁も補修する必要があるので、カバー工法に比べると費用は高くなります。
ちなみにカバー工法だと既存の窓に歪みがあった場合でも、上から新しい窓枠を設置するため歪みを直すことができます。また隙間風があってもその隙間を上から埋める形で解消することが可能です。
3:窓の大きさや位置を変える
窓のリフォームでは窓の大きさや位置を変えることも可能です。しかし外壁工事が必要になるので、その分費用は上乗せされます。以下は窓の大きさや位置を変える場合の費用です。
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
今ある窓を大きくする | 約30万円~50万円 |
今ある窓を小さくする | 約10万円~40万円 |
今ある窓を他の場所に移動させる | 撤去:約10万円~30万円 増設:約10万円~30万円 計:20万円~60万円 |
窓を大きくする場合、外壁を広げる作業が必要です。ただし外壁を広げることで耐震性に問題が出る場合もあります。例えば、ツーバイフォー工法の建物は箱のように壁で建物を支える構造になっているので、耐震性能が下がる恐れがあります。窓を大きくして問題がないのか、という点は業者に確認するようにしましょう。
また窓を小さくする場合は、窓を小さくする分の外壁を埋めるかたちになります。しかし埋めた箇所の強度が下がる可能性があるので、外壁一面を変えなければならない場合もあります。また家全体をリフォームする場合にのみ引き受けている業者もあるので、可能かは事前に業者に確認しましょう。
窓の位置を変える場合は「既存の窓を撤去する→別の場所に窓を設置する」という2つの工程を踏むことになります。その分、大きさを変える場合と比べても費用は高くなります。
筋交いに注意する
窓の大きさや位置を変える場合の注意点として、筋交い(すじかい)に接触しないようにするということがあげられます。筋交いは木造住宅で建物を支えるために、壁の対角線上に設置しているものです。構造上必要なものなので、市販の探知センサーなどを使用して筋交いを避けて窓を設置するようにしましょう。
工事個所の壁紙を変えてみるのもおすすめ
また窓の大きさや位置を変える場合は、壁も工事するため工事後は内装も周囲の壁と同じような見た目に揃える必要があります。しかし同じような壁紙を揃えるのが難しい場合もあります。その場合は撤去したところだけあえて違う壁紙を使って見栄えを変えるのも効果的です。
壁紙の張替についてはこちらの記事でも紹介しているので、ぜひご参考ください。
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機能を高めるリフォームは4種類
窓のリフォームでは、窓本体以外にも以下のリフォームを行うことができます。
- 内窓をつける(断熱、防音効果)
- 網戸を取り付ける(換気)
- 外からシャッターや面格子をつける(防犯、台風対策)
- 耐震フレームを取り付ける(地震対策)
1:内窓をつける
内窓とはサッシを2つ取り付けて窓を2重にすることです。ちなみに1つのサッシに使用する複層ガラスとは違うものになります。
内窓は既存の窓枠の内側に新しく設置するかたちになります。施工時間は30分~1時間です。費用は窓の大きさによって異なりますが、約5万円~12万円が相場となります。ただし窓の高さが190cmを超える場合は30万円近くなることもあります。
内窓は窓の間に空気の層ができるので、断熱効果があることが挙げられます。また内窓を新設する際に気密性を上げれば防音性も高まります。
2:網戸を取り付ける
網戸の張替だけだと1枚あたり1,000円~2,500円になります。また今網戸が取り付けられないサッシになっている場合は、サッシを取り替えて網戸を設置します。サッシの交換も含めた取付費用は、約10万円~25万円です。
また網戸の開き方には以下の3種類があります。
引き違いタイプ | アコーディオンタイプ | ロールタイプ |
---|---|---|
サッシの一番外側に取付けます。網戸レールとサッシとの隙間の幅で、取付できる網戸は異なります。 | コンパクトに収納できるので、出入りの多い箇所に最適です。 | スライドさせて開閉する網戸です。使わない季節はコンパクトに収納できます。 |
網の種類として、糸の太さを細くして風通しを良くしたものや、網に薬剤を含ませることで虫が止まりにくくなっているものなどがあります。またペットの引っかきに強いタイプもあります。機能性のある網は一般的な網よりも費用は高めですが、取付けの際に同時に依頼するのも選択肢の一つです。
網戸は4~5年で劣化するといわれています。張替だけだとDIYで行うことも可能ですが、取付けは難しい場合もあります。とくにロールタイプやアコーディオンタイプはDIYでの交換が難しいので、業者に依頼することをおすすめします。
3:外からシャッターや面格子をつける
シャッターは飛来物で窓が割れるのを防いだり、冬だと冷たい風を防いだり夏は日光を遮って室内を涼しく保つ効果があります。面格子は防犯目的で設置しますが、近年は様々なデザインがあり建物の景観にあわせて選ぶことができます。
シャッターの設置費用は手動タイプは約6万円~16万円、電動タイプは約10万円~35万円です。 面格子の設置費用は約2万円~8万円です。
シャッターは切り込みの入ったスリットタイプだと、閉めていても換気や採光が可能です。また電動のリモコン式だと窓を閉めた状態でも開閉できるので、冬は冷たい空気を室内に取り込まずにすみます。
面格子は壁に直接取り付けるタイプもありますが、窓枠につけるタイプもあります。窓枠に取り付けるタイプは壁への穴あけが不要になり、DIYでも設置が可能です。
4:耐震フレームを取り付ける
耐震フレームは既存の窓に外付けで設置する枠です。従来は窓の耐震工事というと、窓を小さくして周りを補強するのが一般的でした。しかし近年は後付けで耐震できる商品もあります。
設置費用は約100万円が相場です。施工期間は約2日で、引越し不要で住みながら工事が可能です。色も白や茶色など景観にあわせて選ぶことができます。
マンションは管理規約を確認しよう
マンションの場合は勝手に窓をリフォームすることはできません。マンションは他の住民との共有部分と自分たちの所有である専有部分に分けられます。共有部分は管理組合の許可を得ないとリフォームはできません。
国土交通省が標準のモデルとして示した「マンション標準管理規約」には窓や窓ガラスは共用部分に含まれると記載されています。しかし、あくまで標準としての例のようなものなので、マンションの管理組合によっては専有部分としている場合もあります。各マンションの規約を確認するようにしましょう。
-
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおり
とする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
出典:国土交通省マンション標準管理規約(単棟型)
マンションは外観を統一するためや、防犯、防音のために窓を統一しているため、制限を設けています。どのような手続きが必要なのかも組合に確認しておくことが必要です。
建築基準法に基づいて窓を設置する
建築基準法では人が住む空間に自然光を取り入れることが決められています。その面積は床面積の1/7以上とされています。この面積を有効採光面積といいますが、これは一言でいうと採光ができる窓の大きさです。
ただこの面積は「直接日光が差し込む面積」というわけではなく、例えば北向きで直接日光が入りにくい場所でも有効とされています。
窓の位置を移動させる場合や、大きさを変える場合には建築基準法に基づいた工事になっているのかを業者に確認するようにしましょう。
まとめ
窓のリフォームはガラスだけ交換する場合や、外壁工事が必要になる場合など規模によってかかる費用が異なります。不要な工事を避けるためにも窓のリフォームを行う目的を明確にしてリフォームを依頼するのが大切です。
- 窓のリフォームの規模が大きくなると費用も高くなる
- 断熱や耐震など付加価値を高める工事も可能
- マンションの管理規約や建築基準法など確認が必要な場合がある