築年数別リフォーム費用一覧
マンションは築年数によってどのようなリフォームが必要なのか異なります。下の表にリフォーム内容と費用をまとめました。
築年数 | おすすめのリフォーム | 費用目安 |
---|---|---|
40年以上 | スケルトンリフォーム | 300万円~1,200万円 |
30年 | 壁紙の張替 | 1,000円~1,600円/㎡ |
床材の張替 ※1 | 14万円~19万円 | |
キッチンの設備交換 | 50万円~300万円 | |
お風呂場の設備交換 ※2 | 50万円~150万円 | |
トイレの設備交換 ※3 | 7万円~17万円 | |
間取りの変更 ※4 | 8万円~30万円 | |
20年 | 壁紙の張替 | 1,000円~1,600円/㎡ |
10年 | 部分リフォーム ・浴室のコーキング ・コンロの交換や点検 ・ドアの金具や鍵の交換や調整 ・給湯器の交換や点検 ・換気扇の交換や点検 | 2万円~40万円 |
※2 ユニットバスを交換する場合
※3 便器の交換、壁と床のリフォーム
※4 壁の増設、壁の撤去を行う場合
築年数が10年以内だとリフォームの必要性はありませんが、部分的に不具合が出てくることがあります。早めに修繕を行うことできれいな状態を保つことが可能です。
築20年~30年になると、水回りに不具合が出やすくなります。見た目は問題なくても内部が腐食している場合もあるので一度点検や交換を行うことをおすすめします。
また築30年経っている場合は、家族構成が変わっていることも考えられます。内装だけでなく間取りの変更を行うケースも多いです。必要に応じてレイアウト変更を行ってもよいでしょう。
築40年以上の住居は、内装にも多くの傷みが見られる状態です。また配管も劣化し漏水する恐れもあります。そのため、配管ごとリフォームできるスケルトンリフォームを行うことをおすすめします。また、築40年以上だと新しく耐震基準が設けられた1981年以前に建てられている可能性もあります。スケルトンリフォームを行うときに耐震性をチェックすると安心です。
マンションリフォームにかかる工期
リフォームにかかる期間は工事の規模や工事を行う箇所によって異なります。以下は工事期間の目安です。
リフォームの種類 | 工事期間 |
---|---|
お風呂リフォーム(ユニットバス) | 3日~7日 |
トイレリフォーム(内装+配管工事) | 2日~5日 |
キッチンリフォーム(交換) | 2日~6日 |
壁紙張替(6~8畳) | 1日 |
床材の張替(フローリング・6畳) | 2日~3日 |
間取りの変更(壁の撤去) | 4日~5日 |
スケルトンリフォーム | 3ヶ月~4ヶ月 |
ユニットバスは昔ながらのタイル張りの浴室ではなく、規格品であるパーツを現場で組み立てるタイプの浴室です。現在はユニットバスへのリフォームが主流となっています。
キッチンリフォームは壁付けから対面式にする場合など、キッチンを移動する場合は2~3週間ほどかかります。しかし設備の交換だけだと工期は比較的短いです。
いずれも上記の工期は目安となります。リフォーム内容や使用する資材、既存の建物の状態などで工期は異なるので、明確な期間を知りたい場合はリフォーム業者に相談することをおすすめします。
マンションリフォームの注意点
リフォームを行うときに、戸建てとは異なりマンションだからこそ注意すべき点があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
・リフォームできるのは部屋の内部だけ ・水回りは配管の移動が難しい場合もある ・管理規約の制約に注意 ・壁式構造だとリフォームできない場合もある |
リフォームできるのは部屋の内部だけ
マンションは他の住民との「共用部分」と自分たちの所有部分である「専有部分」があります。マンションでリフォームできるのは専有部分だけです。基本的に各部屋の内部のみになりますが、以下の箇所もリフォーム不可となるので注意しましょう。
リフォームできない共用部分 ・玄関ドア ・窓(サッシ) ・バルコニー ・給排水菅の竪管(たてかん) |
玄関は外観を統一させるために共用部分としています。窓は大きさを変えた場合に耐震性に問題が出てくることがあるためです。
バルコニーは避難経路となっているため、避難を妨げるようなものは設置できません。また給排水菅には横管と竪管がありますが、マンションの縦方向に設置されている竪管は各住居と給水設備が繋がっているため共用部分となります。横管はコンクリートの構造体に埋まっていなければ工事可能です。
水回りは配管の移動が難しい場合もある
マンションの場合、床下に余裕をもって配管が設置されていると配管の移動は可能です。しかし配管がコンクリートの構造体に埋まっている場合は移動は困難です。
2000年以降に建てられたマンションだと床下に余裕のあることが多いですが、1980年以前に建てられたマンションだと床下に余裕がない構造になっていることがあります。キッチンの移動など、配管の移動が考えられる場合はマンションの管理組合に図面を確認して業者に相談するようにしましょう。
管理規約の制約に注意
マンションでは管理規約でリフォームについて制約を設けていることがあります。例えば、使用できる資材に指定があったり、電気の容量や給湯器のサイズが決められている場合もあります。
床材だと下の階への防音性の配慮のために制約されています。またマンション全体で電気の容量に限度があるため、各住戸に割り当てられた電気容量にも上限が設けられている場合があります。ガスコンロからIHコンロに変更するときなどは容量に問題がないか確認が必要です。
また近隣への配慮から工事ができる時間も制限しているマンションが増えています。土日・祝日は禁止し、時間は17時までとしているところが多いです。内容はマンションによって異なるので、詳しくはマンションの管理組合や管理規約を確認しましょう。
壁式構造だとリフォームできない場合もある
マンションには柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」と壁で建物を支える「壁式構造」の2種類あります。壁式構造は壁を撤去すると耐震性に問題が発生してしまいます。
そのため、マンションがラーメン構造なのか壁式構造なのかを事前に確認する必要があります。見分け方として間取り図で見分ける方法と階数で判別する方法があります。
間取り図で室内に柱の出っ張りがあるとラーメン構造の可能性が高いです。また壁式構造は5階以下の建物のみに採用されています。6階以上の中高層マンションだとラーメン構造の可能性が高いです。
ちなみにラーメン構造はドイツ語の「Rahmen(枠組み)」を語源としています。柱と梁を使うため、室内に凹凸があるのが特徴です。
壁式構造でも構造上問題のない壁は撤去できる場合もあるので、工事に着手する前に業者や設計事務所の専門家などに相談するようにしましょう。
中古物件を買ってリフォームする場合のポイント
マンションのリフォームをお考えの方には「中古マンションを安く購入してリフォームをしたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
平成31年2月に公開された国土交通省「不動産市場動向マンスリーレポート」によると2017年の新築マンションと中古マンションの平均価格は2,713万円の差があります。
中古マンション | 新築マンション | |
---|---|---|
平均価格 | 3,195万円 | 5,908万円 |
㎡単価(万円/㎡) | 50万円 | 85.9万円 |
中古物件だと初期費用を抑えることができ、また新築に比べて物件の数が多いので希望の立地で探しやすいというメリットもあります。
中古マンションを購入してリフォームを行う場合、以下の3つのポイント抑えましょう。
1:住宅ローンを組んだほうが金利が低い
リフォームを行う場合、「リフォーム専用のローン」を組むことができます。しかし中古物件を購入してリフォームを行う場合は、物件の購入費用とリフォーム費用が一体になっている「住宅ローン(一体型ローン)」を組むことも可能です。特徴はそれぞれ以下の通りです。
リフォーム専用ローンの特徴 ・住宅ローンと比べてローンの審査が通りやすい ・借りることのできる金額が住宅ローンよりも低い ・担保なしで借りれる場合もある ・返済期間は約15年と短め ・金利が2%~5%と高い |
担保とはローンを組むのが困難になった場合に備えて金融機関が確保する、保証人や不動産のことです。担保が必要なリフォームローンもありますが、担保なしのローンは借入金額が500万円~1,000万円と低めです。
住宅ローン(一体型)の特徴 ・住宅ローン控除が適用される ・審査が厳しい ・借りることのできる金額はリフォームローンよりも高い(上限約1億円) ・返済期間は約35年と長い ・金利は約1%と低い |
住宅ローンでは控除を受けることができます。住宅ローン控除とは、マイホームをローンで購入した人を対象に、毎年一定の割合の金額が所得税から差し引かれることです。
リフォーム専用ローンと住宅ローンを別で契約した場合、リフォーム専用ローンは対象になりません。一体型ローンだと両方が対象になるので、活用するとお得です。ただし控除の適用にはいくつか条件があるので、税制度に関する不明な点は税理士などに相談すると安心です。
2:入居前にホームインスペクションをする
ホームインスペクションとは住宅診断のことです。住宅診断士が劣化していないか、また欠陥箇所や修繕が必要な箇所はないか、ということを確認してアドバイスを受けることができます。
所要時間は2~3時間で、費用は5万円~8万円ほどです。中古マンションを購入する前に行うことで安心して取引を行えます。
ただホームインスペクションは2018年4月から中古物件を対象に義務化されており、基本的に不動産業者が売る側と買う側の両者に調査結果の説明を行います。
入居した後に思わぬ修繕費用が発生する、といった事態を避けられるので購入時にはホームインスペクションの実施を確認するようにしましょう。
3:管理と清掃の状況を確認する
マンションでは将来全体で修繕が必要になった場合に備えて修繕費用を住民で積み立てています。その修繕費や管理費を滞納しているか、といったことが確認できる「重要事項調査報告書」という書面があるので確認しておくと安心です。
もし買う予定の住戸に滞納額があった場合は、その滞納額を引き継ぐことになります。またマンション全体での滞納額があった場合は、管理が行き届いていないという判断基準になります。
また物件を購入する前に、マンションの清掃状態なども確認しておきましょう。共用部分の状態を確認することで、管理組合や住民の管理への意識を確認することができます。
まとめ
マンションのリフォームは築年数によって必要なリフォームが異なります。とくに水回りは見た目は問題なくても内部が腐食している可能性もあるので、20年ほど経っている場合は点検をおすすめします。必要な箇所だけリフォームすると予算を最低限に抑えられますが、雰囲気を変えたい場合はスケルトンリフォームを行うのもおすすめです。
この記事のまとめ ・マンションは築年数ごとでリフォーム内容も変わる ・マンションだと管理規約などに注意する ・中古マンションを購入してリフォームする場合は住宅ローンを組むことも可能 ・中古マンションは管理状態も確認する |