砂壁と土壁の種類
砂壁とは、砂を糊液で練ったものをモルタルや石こうボードの表面に上から塗った壁のことです。床の間に使用されることが多く、表面がおろし金のようにざらざらとしているのが特徴です。
砂壁は天然の砂や砕石、金属から作られた粉や色ガラス粉、貝殻が使われています。本来は糊液にでんぷんや海藻の煮汁が使われますが、最近は合成樹脂の接着剤が使われることが多いです。
土壁は下地から表面まで土で仕上げている壁です。藁を練り込み発酵させることで強度を高めます。土壁にはいくつか種類があります。
土壁の種類 | 特徴 |
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珪藻土 | 植物性のプランクトンであるケイソウが化石となって蓄積した土を原料としています。 多孔質で水分を吸収する働きがあり、水まわりの壁に適しています。 |
漆喰 | 消石灰に糊や繊維質の物質を混ぜて水で練ったものです。表面がつるつると仕上がるのが特徴でほこりが付着しにくく劣化しにくいという特徴があります。 |
プラスター | 鉱物質の粉を水で練ったものです。西洋漆喰とも呼ばれ、滑らかな表面をしています。石こうプラスターや消石灰が原料のドロマイトプラスターなどがあります。 |
大津壁 | かつて滋賀県の大津周辺で採れる土を使っていたことが由来の壁材です。石灰や色土、すさ(繊維質)を混ぜて作られます。漆喰と比べて変色しにくいのが特徴です。 |
錆壁 | 壁材に鉄粉や古釘の煮だし汁を加えて、意図的に壁にサビを出すものです。年月が経つにつれて錆が出てくるので、壁の変化を楽しむことができます。 |
砂壁・土壁にするメリット
砂壁や土壁は見た目だけでなく、機能面でもメリットがあります。もちろん見た目の良さから目立つ場所に施工するのも効果的ですが、機能面を重視する場合は、砂壁や土壁が向いている場所もあります。具体的にどのようなメリットがあるのが見ていきましょう。
調湿機能がある
砂壁や土壁は湿度を調節する機能があります。湿度が高いときは吸湿し、乾燥しているときは放湿する働きがあるのです。そのため、湿気が溜まりやすいクローゼット内や湿度を快適に保ちたい寝室などが向いているでしょう。
湿度を適切に保てるため、ダニやカビの発生を防ぐこともできます。砂壁や土壁のなかでもとくに珪藻土は吸湿機能が高いです。
耐火性に優れている
砂壁や土壁は無機質で不燃性物質のため、耐火性に優れています。日本古来の木造の家屋は砂壁にすることで火から守ってきました。また珪藻土は七輪に使われるほど火に強いという特徴があります。
シックハウス症候群対策に効果的
近年は多くの化学物質が住宅に使用されており、高気密、高断熱の住宅が増えていることからシックハウス症候群が問題になることもあります。
砂壁と土壁はシックハウス症候群に有害な物質である、アンモニアやホルムアルデヒドという物質を吸収する働きがあります。
化学物質によるアレルギーやシックハウス症候群の心配がある場合は、砂壁や土壁にするメリットは大きいといえるでしょう。
砂壁・土壁にするデメリット
砂壁や土壁には以下のようなデメリットもあります。
掃除に手間がかかる
砂壁は汚れても水拭きできません。水拭きをするとシミになったり、砂が剥がれ落ちる恐れがあるためです。珪藻土や漆喰は水拭きできますが、土の配合割合によってはシミになる可能性があるので、一度目立たない箇所で拭いてみるなど、慎重に行う必要があります。
また砂壁は衝撃があったり、紫外線の影響を受けたり劣化してくるとポロポロと砂や粉が落ちてきます。近くに家具があると設置が難しい場合があり、年月が経つにつれて掃除が手間になってしまいます。
さらに砂壁は一度はがれてしまうと見た目が悪くなってしまうので注意が必要です。カーテンを設置すると粉がつきやすく、頻繁にカーテンを洗う必要もあります。
他の壁材と比べて費用が高い
砂壁や土壁は、壁紙を施工するときより設置費用が高いです。砂壁や土壁は左官屋に依頼する必要があり、その分通常のリフォームよりも人件費などの料金が上乗せされます。目安としては壁紙を貼るリフォームよりも3倍~5倍ほどの料金がかかります。
工期が長い
壁紙から壁紙に変える場合のリフォームだと、1部屋だとおよそ1日で施工できます。しかし、砂壁や土壁の場合乾燥の時間も含めると2日~4日はかかってしまいます。これは壁材を塗った後に乾燥させる必要があり、乾燥時間に約1~2日程度かかってしまうためです。工事期間内はその部屋が使えないため、砂壁や土壁にする場合はスケジュールに余裕をもって依頼するようにしましょう。
砂壁・土壁を業者に依頼する場合の費用
砂壁や土壁を業者に依頼した場合、6畳から8畳ほどの広さだと以下の費用が目安です。床の間がない場合は、数千円から数万円安くなります。
方法 | 費用 |
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砂壁を塗る | 6万円~15万円 |
土壁(漆喰や珪藻土)を塗る | 7万円~20万円 |
※足場代や養生費、引渡し時の清掃費なども含みます。
砂壁の上から珪藻土を塗る場合は、砂壁を除去して下地を下塗り材(シーラー)で整えてから土を塗っていきます。下地の状態によってはシーラーを使う量が変わるので、料金も異なります。詳細なリフォーム料金についてはリフォーム業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
DIYで砂壁・土壁にする方法
DIYだと業者に依頼するよりも費用を安く済ませることができます。ここではDIYで砂壁と土壁にする方法をご紹介します。
今の壁が砂壁で、上から新しく砂壁を塗る場合は「砂を落とす作業」が必要になります。
また壁紙が貼ってある壁を塗り替える場合は、壁紙の上から塗れるタイプの砂壁や土壁を使用すると便利です。ただし、壁に透湿性を持たせたい場合や壁紙がボロボロの場合は壁紙を剥がしてから塗りましょう。
手順
- (壁紙を剥がす)
- 汚れないようにマスキングテープ、マスカーで周囲やコンセント部分を保護する
- 今の壁が砂壁の場合は砂をブラシで落としていく
- シーラー(下塗り材)を塗って乾燥させる
- 模様を付けたい場合は2回重ね塗りをする
- 乾燥させる
DIYだと好きな模様にできるといったメリットがありますが、失敗したときにやり直そうとして逆に費用がかかってしまうことがあります。不安な場合は業者に依頼するほうが安心です。
まとめ
砂壁や土壁は吸湿性があり、カビやダニを防ぐといったメリットがあります。お手入れに手間がかかってしまうといった面もありますが、耐火性もあり好きな柄をつけることもできるので雰囲気を変えたいときのリフォームにもおすすめです。
- 砂壁と土壁は異なり、土壁にはいくつか種類がある
- 砂壁と土壁は手間や費用はかかるがメリットも多い
- DIYだと失敗のリスクもある