まず知っておこう!キッチンの配置は3種類ある
キッチンはリビングやダイニングと近い場所に設置されることが多く、最近ではキッチンとリビングが対面式でつながっているような作りの住宅も多いです。
メリットが多いように思える開放的な作りのキッチンですが、デメリットもあります。ここではキッチンの配置によってどのような違いがあるのかご紹介します。
「クローズ」は個室キッチン
クローズとはキッチンがリビングとは独立して作られている配置のことです。独立型キッチンとも呼ばれます。キッチンの片側が出入口になっており、四方が壁に囲まれている作りになっています。個室のような空間になるのでリビングからキッチンが見えにくい構造です。
メリット | デメリット |
---|---|
・煙や匂いがリビングに充満しにくい ・キッチンがリビングから見えにくく目隠しになる ・調味料や料理器具を1箇所にまとめられるからリビングやダイニングがスッキリする |
・家族とコミュニケーションを取りにくい ・日当たりが悪くなりがち ・夏は熱気がこもりやすい ・ダイニングと距離が遠くなる場合がある |
「オープン」は開放的
オープンはリビングやダイニングと同じ空間になっている構造です。対面キッチンやカウンターキッチンなどと呼ばれるキッチンも、この配置になります。もともと独立型キッチンのように壁がある場合は、リフォーム時に壁を撤去する工事が必要です。
メリット | デメリット |
---|---|
・家族とコミュニケーションが取りやすい
・小さな子どもの様子を確認しやすい ・複数人で作業がしやすい |
・煙や匂いが生活空間にも充満しやすい
・来客時もキッチンが視線に入る ・整頓されていないとリビングやダイニングも含めて散らかっている印象を受けてしまう |
「セミオープン」は一部を隠せる
セミオープンキッチンは、一部が壁になっていたり収納になっていることで完全な個室ではないキッチンのことです。一言でいえばクローズとオープンの中間といえます。
例えば、配置としては対面式になっていてもコンロ部分に壁があることで半個室のような作りになっているものもあります。小さいお子さんの様子を確認しつつも、来客時には手元の視線を遮ることができます。
メリット | デメリット |
---|---|
・子どもの様子を確認しやすい ・手元への視線を遮ることができる ・ある程度のリビングへの煙や匂いを抑制できる |
・オープンに比べると開放感がない |
キッチンを【どのように】置く?
先ほどはリビングとキッチンの位置関係から「どこに設置するのか」という視点でご紹介しましたが、ここではキッチンを「部屋のなかでどのように設置するのか」という視点で設置の種類を紹介していきます。
「壁付け型」は狭い場所に向いている
壁付け型は文字通り、壁に付いているタイプのキッチンです。クローズ、オープン、セミオープンのすべてで使われます。
正面が壁になっているので、後ほど説明する「アイランド型」や「ペニンシュラ型」などの対面式のキッチンと対比されることが多いです。海外の戸建住宅では正面が窓になっていることもあります。
壁沿いにキッチンを配置すればよいので、リビングやダイニングを広く取ることも可能です。対面式キッチンから壁付けキッチンに変更する場合の費用は約60万円~200万円です。
メリット | デメリット |
---|---|
・狭くても設置しやすい ・リビングやダイニングのスペースを広く取りやすい ・目の前が壁なので作業に集中しやすい |
・作業しながら小さい子どもの様子を確認しにくい |
「アイランド型」は広いスペースが必要
アイランドは英語で島のことです。アイランド型キッチンは四方が通路で完全に孤立しているキッチンを指します。配置としてはオープンのみが該当します。
アイランドキッチンは壁付けと比べて開放的な作りになっています。またダイニングテーブルをくっつけたりといった自由な空間設計ができるのが特徴です。ただし、アイランドキッチンを設置するには広いスペースが必要になります。
リノベーションでアイランドキッチンにする場合の費用は、壁付けからアイランドに変更するケースで約150万円~200万円です。変更するキッチンのランクや資材によっては300万円ほどかかる場合もあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・複数人で作業しやすい ・コミュニケーションを取りやすい ・ダイニングテーブルをくっつけるなどのレイアウトの幅が広い |
・周りが通路なので場所を取る ・収納が少なくなりやすい ・煙や匂いがリビングやダイニングに充満しやすい |
「ペニンシュラ型」は片側が壁についているタイプ
ペニンシュラは英語で半島という意味です。その名の通り、キッチンの片側が壁についており、半島のようになっている対面式キッチンを指します。オープンまたはセミオープンで配置が可能です。ペニンシュラキッチンへのリノベーション費用は約60万円~200万円となります。
片側が壁になっているので、アイランド型と比べて狭いスペースでも対面式にすることができます。またセミオープンにすると、対面式ながら手元を隠すことができるので開放感を確保しつつ視線を遮断することも可能です。
メリット | デメリット |
---|---|
・家族とコミュニケーションが取りやすい ・アイランドと比べて狭い場所でも設置できる |
・吊戸棚を設置しない場合、収納が少なくなりがち |
キッチン自体の形状は3種類ある
ここまではキッチンの配置や置き方についてご紹介しましたが、キッチン自体の形状にも種類があります。キッチンはおもにシンクとコンロの位置によって、I型、L型、セパレート型の3種類に分けることができます。
3種類いずれも、これまでにご紹介した配置や設置方法でキッチンを工事できます。
「I型」はコンロ・シンク・調理台が1列になっている
I型キッチンはコンロとシンク、調理台が1列になっているキッチンです。賃貸住宅などキッチンのスペースが十分に確保できない場合でも、狭い場所に設置しやすいという特徴があります。
I型で横に長いタイプだと横移動がメインになるので、動線が悪くなるというデメリットはありますが、他のキッチンと比較すると設置費用やシステムキッチンの費用は安いです。I型キッチン自体の費用は安いもので約50万円、高いものだと140万円ほどになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・狭い場所にも設置しやすい ・他のキッチンよりも安価 |
・商品によってはかなり幅が狭いタイプもある ・横幅が大きいタイプは横移動が手間になる |
「L型」は部屋の角に設置できる
L型キッチンはL字型に曲がった形状のキッチンです。I型と比べて移動範囲が短くなるので、作業動線が確保しやすいという特徴があります。
L字型のキッチン自体の費用は安いもので約70万円~80万円、高いクラスは約100万円~200万円です。
メリット | デメリット |
---|---|
・作業動線が短い ・収納を確保しやすい ・作業スペースが広くなりやすい |
・コーナーがデッドスペースになりやすい ・設置にはスペースが必要 |
「セパレート型(Ⅱ型)」はシンクとコンロが別になっている
セパレート型はコンロとシンクがそれぞれ向かい合うように設置されているキッチンです。見た目はアイランドと似ていますが、アイランドはシンクやコンロがすべて孤立しているのに対して、セパレートはそれぞれ別で設置されています。見た目が2つの線のように見えることからⅡ型ともいわれます。
セパレート型のキッチン自体の費用は、約70万円~220万円です。
メリット | デメリット |
---|---|
・アイランドよりも狭い場所で設置できる ・キャビネットが2つあるので作業スペースが広い ・動線が短く振り返るだけでコンロとシンクを移動できる |
・シンクとコンロで物を運ぶときに水が垂れやすい ・設置には広いスペースが必要 |
ワークトップの材質はステンレス?人工大理石?
ワークトップは調理の下処理をしたり、材料を切ったりなどの調理台のことです。最近はコンロと一続きになっているタイプが多く、代表的な材質だとステンレスや人工大理石があります。
ステンレスは細かいキズがつきやすいという特徴がありますが、耐火性や耐久性に優れているというメリットがあります。サビにくく鍋を直接調理台に置いても熱の影響が少ないので、利便性を重視する場合におすすめです。
またステンレスは調理台の材質のなかで費用が最も安いので、キッチンのリノベーション費用を抑えたい場合に向いています。ほかにもステンレスは臭いがつきにくいという特性があります。食べ物のにおいや生ごみのにおいにも効果的です。
人工大理石はアクリル製の樹脂やポリエステル樹脂から作られています。アクリル製のほうが強度が強く、耐熱性や衝撃性に優れています。ただし費用はアクリル製のほうが高めです。
見た目は大理石のようですが、天然の大理石よりも安いので手軽に高級感を出したいというときに最適です。ただし熱に弱いため直接鍋を置くことは避けましょう。
人工大理石とステンレスの違いは「サビるか」という点です。最近のステンレスはサビにくいような加工が施されていたり、耐久性も向上していますが、人工大理石はサビることがないのでお手入れに自信のない方は人工大理石のほうがよいでしょう。ただし費用は人工大理石のほうが高めです。
キッチンリノベーションのアイデア例
「どうせリノベーションするならおしゃれにしたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。生活感を出さない工夫や作業スペースを確保する工夫など、ここではキッチンをリノベーションするときのアイデアをご紹介します。
家電や収納があるところを隠す
キッチンをよりスタイリッシュに見せるために、収納を隠すという方法があります。セミオープンのキッチンだともともとコンロ付近を壁で隠すといったことができますが、ほかの形状のキッチンでも引き戸などで家電や収納を隠すことが可能です。
例えば、背面にある収納を引き戸で隠すという方法があります。ルーバーなど切り込みのある戸だと通気性もよく、内部に湿気が溜まりにくいです。
他にもロールスクリーンやパーテーション、間仕切り戸を使うアイデアもあります。スペースに余裕があればパントリーを別で作るのも一つの方法です。
パントリーとはキッチンに隣接した食器や食材を保管しておく小さなスペースのことです。常温の食材(米、麺類、缶詰など)や鍋、ラップなどの小物も置いておくことができます。ほかにも普段はあまり使わない家電などを収納できるので、キッチンを広く使うこともできます。
パントリーのリノベーション費用は1畳あたり約13万円~15万円です。既存の空きスペースなどに棚をつけるといった簡単な工事だと5万円ほどで施工できる場合もあります。
オーブンや食洗機をキッチンに組み込んでしまう
システムキッチンにはオーブンや食洗機があらかじめ組み込んであるタイプがあります。キッチンを丸ごと交換する場合は、システムキッチンにセットで付いているタイプを選んでもよいでしょう。
オーブンは最近だと電子レンジとオーブンの機能が両方ついた「オーブンレンジ」が主流になっています。オーブンレンジだと電子レンジを別で用意する必要がないので、省スペースです。
食洗機はオプションでシステムキッチンに組み込むこともできます。また後付けする場合は、約9万円~25万円が相場です。配管などでとくに不具合がなければもっと安く施工できる場合もあります。
据え置き型と比べて組み込み式の食洗機は設置費用は高いですが、洗浄力が高く音も静かなので、とくに引越しなどの予定がなければ組み込み式が便利です。
アクセントにタイルを使う
「キッチンをおしゃれにしたい」という場合に使われることの多いのがタイルです。タイルは熱に強く、耐水性、耐久性もあります。お手入れが難しいというデメリットはありますが、色使いも自由に選べるためこだわりがある人からは今でも需要があります。
また「一部を隠しながらも暗くなりすぎないキッチンにしたい」という場合は、仕切りの壁に採光性のあるガラスブロックを使用するのも効果的です。
まとめ
キッチンのリノベーションは、壁を壊したり設備を丸ごと入れ替えたりなど大規模な工事をすることが多いと思います。キッチンの配置自体を変える場合は、「どこに置くのか」「どのように置くのか」「形はどうするか」を決めて予算内で収まるように計画を立てるようにしましょう。
- キッチンは場所、置き方、形で決まる
- ワークトップはステンレスが安い
- 余裕があればパントリーやタイルの施工も視野に入れよう