和室のリノベーション方法
近年では、洋室に和の雰囲気を取り入れたり、リビングに畳の小上がりを造ったりするご家庭も増えています。昔ながらの雰囲気をあえて取り込む和の空間づくりが今注目を浴びています。
今お住まいのお家に和室があるけれど、古くなってしまったのでリフォームやリノベーションを考えているという方もいらっしゃるかと思います。
和室のリノベーションには大きく分けて3種類の方法がありますのでご紹介していきます。
和室を活かす
一昔前の和室はあまりおしゃれとは言い難い部屋が多く、洋室に変えようかなとお考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、リノベーションを行えばデザインも間取りも自由に変えられるため、あなただけのおしゃれな和室をつくりだすことができます。ふすまや障子を開けたり閉めたりすることで、広々した空間と個室を使い分けることも可能です。
また近年では、和の雰囲気を生かしたまま現代風にアレンジした「和モダン」な部屋が人気を集めており、洋室でありながら和の雰囲気を醸し出すこともできます。
洋室に変える
和室を洋室にして部屋全体のイメージを変えたい、リビングとつなげて間取りごと変更したいといった場合は内装ごとリノベーションを行うことになります。
高齢者など車いすで生活する人にとっても、フローリングのほうが移動もスムーズです。
また、内装すべてを改装せずとも、押入れをクローゼットに変えたり、畳をフローリングに変えたりするだけでも雰囲気は大きく変わります。
どの程度まで洋室にするかは、生活スタイルに合わせて考えてみても良いでしょう。
和室を修繕する
大規模なリノベーションは行わず和室の修繕だけをする場合は、畳や障子、ふすまや壁などの張替えを行うことになります。畳を替えるだけでもかなり和室の印象は変わってきます。
畳は一般的に3年ほどで「裏返し」、さらに3年で「表替え」、10年~15年ほどで「新畳」に交換すると良いとされています。
また近年は、正方形の琉球畳も人気があり、カラーバリエーションも豊富なため個性的でおしゃれな雰囲気の和室に変えることもできます。
和室から洋室に変える費用と工期
リノベーションにかかる費用は、どこをどのように改装するかによって大きく異なります。
壁や床だけなら10~20万円程度で済む場合が多いですが、室内全体を改修する場合は100万円~1,000万円以上かかるケースもあります。
間取りの変更が必要な工事の場合だと、㎡あたり10~15万円ほどかかるとみておいてよいでしょう。
ただし、内装で使用する材料などによっても変わってきますので、より詳しい金額が知りたい場合はリノベーション業者に相談することをおすすめします。
工期については、壁や床、天井の工事は平均1~2週間程度、間取り変更を伴う大規模なリノベーションは数ヶ月単位を想定しておく必要があります。
畳からフローリングに変える費用と工期
畳からフローリングに変える場合、床だけの工事になります。
フローリングの素材には「複合材」と「無垢材」に分けられ、それぞれ費用が変わってきます。
複合材は、集成材や合板の基材の上に天然木や化粧シートを貼り合わせた床材です。無垢材よりも安価で品質が安定していますが、天然素材ではないので自然な風合いは出にくいです。
無垢材は、切り出した木材の板を加工した天然の素材を使用しています。木材の風合いや経年による変化を楽しめるところが魅力ですが、複合材よりも汚れが落ちにくく反りや割れが発生しやすいです。
4.5畳 | 6畳 | 8畳 | |
---|---|---|---|
複合フローリング | 10万円前後 | 18万円前後 | 22万円前後 |
無垢フローリング | 13万円前後 | 25万円前後 | 30万円前後 |
工期は6畳までなら最短で1~2日程度、8畳以上だと2~3日ほどかかるとみておきましょう。
古い畳を修繕・新調する費用と工期
施工内容 | 費用相場(1畳あたり) |
---|---|
新畳 | 9,000円~3万円 |
表替え(表のみ張替え) | 5,000円~2万円 |
裏返し(裏返して張替え) | 3,000円~5,000円 |
工期は、畳を新調する場合、新しい畳ができるまでの期間を含めると2~10日ほどかかります。古い畳を無料で引き取ってくれる場合と有料の場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
表替え・裏返しは、ほとんどの場合1日で完了します。
琉球畳(縁なし畳)の費用と工期
琉球畳(縁なし畳)とは、縁がない半畳サイズの畳のことをいい、カラーバリエーションが豊富なのでインテリアとして和室を彩ってくれます。
シックな色合いにすれば落ち着いた雰囲気の和室になり、カラフルな色合いにすれば明るいお部屋になります。
また、普通の畳の5~6倍の耐久性があるとされているため、張替えのスパンが短くなります。
畳の種類 | 価格相場(半畳) |
---|---|
国産琉球畳 | 1万円~2万円 |
和紙の琉球畳 | 7,000円~ |
畳とフローリングのメリット・デメリット
畳とフローリングはそれぞれメリット・デメリットがありますので、和室のリノベーションをお考えの際はぜひ参考にしてみてください。
畳のメリット
吸音性が高い
畳は空気が多く含まれている素材なので、吸音性や遮音性を高めるはたらきがあります。
また、畳には衝撃を和らげる効果のある「い草」が使われているため、子どもが走り回っても足音が響きにくいです。
い草には調温性能もあるので夏は涼しく冬は暖かく過ごしやすいです。
足腰に優しい
畳はやわらかい素材で作られていて足腰に優しいため、小さな子供やお年寄りがいるご家庭にもおすすめです。
畳はその上に直に座ることを想定されているので、子どもが床に座って遊んだり、寝転んでくつろいだりするにも最適です。
汎用性が高い
和室にはたくさんのものを置くことはあまりないので、さまざまな用途で使用できます。
来客時には布団を敷いて寝室にしたり、談話スペースにしてリラックス空間として活用することもできます。
畳のデメリット
傷みやすい
畳はフローリングと比べて傷みやすく、換気を怠るとカビやダニも発生しやすいです。
また、素材が柔らかいため、重さのある家具などを置いていると跡が残りやすいです。
日差しにも弱く、日が当たる部屋でそのままにしておくと日焼けしていきます。
定期的なメンテナンスが必要
経年劣化が分かりやすいので、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
お手入れの手間やその費用などをある程度は覚悟しておく必要があります。
フローリングのメリット
掃除がしやすい
畳のように繊維の隙間にほこりが入ることがなく、お手入れが楽です。水や食べこぼしをこぼしてしまってもサッと拭き取れて掃除がしやすいです。
いつも清潔に保てるため、ダニが発生することが少ない点もメリットです。
メンテナンスはほとんど必要なし
複合フローリングは摩擦にも強く耐用年数も長いので、ほとんどメンテナンスの必要がありません。無垢フローリングは定期的にワックスを塗るといったメンテナンスは必要ですが、畳のように表替え・裏返しなどを行う手間はかかりません。
フローリングのデメリット
足元が冷えやすい
フローリングは、夏は素足でも過ごしやすいですが、冬は足元が冷えやすいので靴下を履くなどの対策をする必要があるでしょう。また、硬い材質のものは踏み心地の悪さから足が疲れやすいです。
水に弱い
フローリングは水に弱く、水を含むと膨張したり変色したりするおそれがあります。水をこぼしてしまったら放置せず、すぐに拭き取りましょう。
まとめ
洋室に比べると和室のニーズはあまり高いとは言えませんが、和室にはメリットも多く、和室ならではの魅力があります。
和室を生かすのか、それともリノベーションをして洋室にするのかは、ライフスタイルによって決めても良いかもしれません。
また、費用は改装規模によっても大きく異なりますので、気になる方はいくつかのリノベーション業者に見積もりを依頼してみることをおすすめします。
ここまでご覧いただきありがとうございました。