戸建てリフォームでできること
建物の劣化した箇所や設備を修繕し、原状回復をはかることをリフォームといいます。床や壁紙の張り替えやバリアフリー化などもリフォームにあたるため、幅広い意味合いを持っています。
近年のリフォームでとくに施工実績が多いとされているのが、耐震補強と断熱性の向上です。
耐震補強
1981年以前に建てられた建物は、現在の新耐震基準で建てられた建物と比べると耐震基準を満たしていない可能性が高いです。そのため、震度6以上の大きな地震で倒壊しないという保証はありません。
現在の水準まで耐震性能を引き上げるには、外壁にブレース(筋交い)を組み込む基礎補強リフォームが推奨されています。
断熱改修
古い建物は、現代のものと比べると断熱性能も低いことは言うまでもありません。
高性能な断熱材への張り替えや二重サッシ(複層ガラス)の設置など、リフォームにより断熱性能の向上が期待できます。
建て替えとの違い
建て替えは文字通り、既存の建物を取り壊して新しい建物を建てることをいいます。基礎部分も含めすべて解体、撤去するため、住宅を一からつくり変えることが可能です。
リフォームは、建物の骨組みは残したまま工事を行うため、間取りなどを大きく変えることは難しい場合が多いです。
リフォームのメリット
リフォームは、新築や建て替えよりも費用を抑えられる上に、短い工期で住まいをきれいにすることができます。
また、あくまで『改修』扱いとなるため、道路付けの問題などで建て替え不可の物件でも全体的に住宅をつくり変えることが可能です。
これまで住み慣れたお住まいの思い出を残しつつも、自分の理想の住宅を実現できるところもメリットの一つです。
戸建てリフォームの注意点
リフォームには多くのメリットがある一方で注意すべき点もいくつかありますので、頭に入れておくとよいでしょう。
予定より改修費用がかかる場合がある
工事を進めていく中で、建物の柱や梁、土台などの老朽化や腐食が明らかになることがあります。
そうなると当初予定していたよりも工事の規模が大きくなり、その分費用がかさんでしまいます。そして、結果的に建て替えのほうが安く済むという可能性もあります。
理想のレイアウトにできない場合がある
リフォームは、既存の住宅の間取りをベースに工事を行うため、理想通りのレイアウトにできない場合があります。住宅の間取りを大きく変更したいという場合は、リフォームより建て替えのほうが向いているかもしれません。
戸建てリフォーム費用と工事期間
ここでは、築年数ごとにおすすめのリフォーム内容や、ケースごとの費用相場などをまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
築年数 | おすすめのリフォーム内容 | 費用相場 | 工事期間 |
---|---|---|---|
築15~30年 | 水回り設備の交換 クロス・床張り替え 屋根・外装塗装 |
約200~500万円 | 1日~2週間 |
築30~40年 | 内部のみスケルトンリフォーム | 1,000万円前後 | 3ヶ月~ |
内部+サッシ入れ替えスケルトンリフォーム | 約1,200~1,500万円 | 4ヶ月~ | |
築50年以上 | 内部・外部ともにスケルトンリフォーム | 約1,300~2,000万円 | 5ヶ月~ |
【CASE1】水回り設備交換+床・クロス張り替え+屋根・外壁塗装
キッチンやお風呂、トイレなどの水回りは毎日使用するということもあり、汚れや傷みが現れやすい箇所です。水回りの設備をすべて交換する場合、設備のグレードなどによっても異なりますが、費用は200~400万円ほどが相場といえるでしょう。
また、床のフローリング材を張り替える場合は、1㎡あたり8,000円~12,000円ほどが相場です。例えば8畳の部屋なら、10~16万円程度が目安となります。
壁のクロスを張り替える場合も、素材やグレードによって費用は変わりますが、1㎡あたりおよそ1,500円ほどが目安です。
外壁塗装は、塗装のみであれば60~90万円ほどが相場ですが、外壁材の張り替えを行う場合は200万円以上になるでしょう。
【CASE2】内装スケルトンリフォーム+屋根・外壁塗装
外壁の劣化が少ない場合は塗装のみで対応し、内装だけスケルトンリフォームを行うという選択もあります。この場合、内装はすべて解体することになるため、間取り変更や配管・配線の変更が可能な方法です。
また、壁や柱に耐震補強を施したり、壁に断熱材を入れたりなど、住宅の基本的な機能を高めることもできます。
30坪の住宅の場合、内部のみスケルトンリフォームする費用は1,000~1,500万円程度、外壁塗装は60~90万円程度が目安です。
【CASE3】内装・外装スケルトンリフォーム
内装と外装ともにスケルトンリフォームを行うことで、まるで新築のような住宅に生まれ変わります。建物の骨組み以外はすべて解体し、1から住宅をつくり変える方法です。
この場合のリフォーム費用は1,300~2,000万円ほどが相場となります。
戸建てリフォームを成功させるポイント
リフォームを成功させて理想の住まいを実現するために、おさえておきたいポイントをいくつかご紹介していきます。
リフォームの目的を明確にする
一軒家に限った話ではありませんが、どの箇所を何のためにリフォームをするのか、目的を明確にしておくことが大切です。
一緒に住まう人たちのライフスタイルなどに合わせたプランを考え、予算内で収まるようにしましょう。
予算の上限を決めておく
予算はいくらまで捻出できるかを、リフォーム会社に具体的に伝えるようにしましょう。
不測の事態に備えて、予備の費用も別で用意できると安心です。
要望は具体的に伝える
リフォーム会社との打ち合わせの際は、「こういう部屋にしたい」という具体的なイメージを伝えられるようにしましょう。写真やイラストなど、視覚的なアイテムを用意すると伝わりやすいです。
できること・できないことの線引きを明確にし、認識の相違がないようにしましょう。
ローンや補助金を活用する
リフォームは大規模な工事になることもありますので、費用も高額になりがちです。しかし、資金が足りないと満足のいくリフォームを行えない可能性もあります。
その場合は、リフォームする際に利用可能なローンを利用しましょう。国が行っている減税制度の対象となる場合もあります。
また、国や自治体が用意している補助金制度を活用する方法もあります。条件を満たしていれば数十万円~数百万円の補助金を支給してもらえるため、リフォーム費用の足しにすることが可能です。
条件や補助金の額は自治体にごとに異なるため、事前に調べておくと良いでしょう。
まとめ
古い戸建てでは、耐震性や断熱性能が足りていない場合も多いため、リフォームで性能を向上させることが推奨されています。
何より、リフォームを行うことで理想の住まいを実現できるメリットがあります。注意するポイントをおさえて、満足のいく内容のリフォームを叶えましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございました。